優秀な兄や姉がいると
下級生としてその下を辿る弟や妹は、いったいどのような気持ちなのでしょうか。
名乗らなくても周りが知ってくれてるのがラッキーなのか嫌なのか・・・
比べられる事でモチベーションが上がるのか下がるのか・・・
本日は、優秀な姉を持つ弟の高校受験のお話です。
優秀な姉
彼には4つ年上の姉がいました。
姉は幼い時から華やかな雰囲気で、人の目を惹きつけるタイプの女の子でした。
彼が小学校に入学した時、姉は5年生。
姉は既に先生たちから頼られ、放送委員や児童会役員を任されていたのです。
そんな、有名な姉がいる校舎で生活をしていると
先生や生徒たち、もしくは他の生徒の親から「あれが弟か」と見られるようになりました。
彼の中で、それが「嫌な事」に代わるまで時間がかかりませんでした。
姉がバレーボールの部活に入って活躍していたのもあり
校内放送の自己紹介では「嫌いなスポーツはバレーボールです。」とわざと発言してみたり
校内で姉と会って手を振られても無視をしてみたり・・・。
ですが、どれを取っても全て姉ありきの行動でしたので
更に「あの姉に反発する弟」として注目を浴びてしまいます。
自分は目立っているのに、見られているのは自分自身ではないジレンマ。
しかし、ここからが彼の「○○の弟」と呼ばれる学生時代のスタートなのです。
〇〇の弟
彼が中学校に入学した時、4つ年上の姉は既に高校生でしたので
小学校の時と違い、同じ校舎で過ごす事はありませんでした。
しかし、姉の武勇伝は校舎のいたるところに残っていました。
入学式で新入生代表として全校生徒の前で挨拶をした記録
部活で県大会優勝した時の写真(もちろん姉はキャプテンでエース)
美術で優秀賞獲得した作品の廊下展示
読書感想コンクールで入賞をした賞状の、これまた廊下展示
などなどなど・・・・・
姉の姿はなくとも、活躍を感じるには充分な校舎でした。
入学式を終え、通常授業が始まると各教科の先生が
「お!来たな!〇〇の弟!」と声を掛けてくるのでした。
高校受験
そんな彼にも高校受験の時が来ました。
成績は真ん中。部活も弱小チーム。
どこの高校に進もうか悩んでいた時に担任の先生から出た言葉は、ここでもまさかの「姉ちゃんの行った高校なら推薦取れるかもな、姉ちゃんの活躍があるから」でした。
姉は高校に進学しても、活躍をしていたのです。
特に部活ではチームの大黒柱として活躍をして成績を残していたので
弟の成績が低くても、部活推薦が取れるとの事。
弟は悩みました。
また、姉か・・・と。
そして影で一番悩んでいたのは、二人の母親です。
弟が小学生の時からずっと姉の存在に悩まされていたのは知っています。
そこで高校進学まで姉の力を借りてしまって良いのかどうか。
姉に対する劣等感でいっぱいになってしまうのではないか。
そんな親子二人の悩みに気付いた担任の先生は後日伝えました。
「確かに推薦は取れるけど、そこで受かるか受からないかはお前次第だ。姉ちゃんの存在は不合格を合格にできるほどではない。」
その一言で、弟は姉の進んだ高校への推薦枠をもらう事に決めました。
合格は自分でつかみ取ってやるんだと。
その後
弟は見事、合格を手にし、姉が進んだ高校へ進学しました。
スポーツ推薦枠だったので、部活に夢中になり、それと同時に一生懸命勉強をしました。
中学の時と違い、部活で成績も残し
一生懸命勉強したおかげで、大学も希望通りの大学へ進みました。
そこから希望の職種に就職もできて順風満帆です。
これも全て、自分の力で高校の合格を手にし
自分自身を見てもらったんだ!という自信からでした。
初めて自分自身が評価されている嬉しさでいっぱいでした。
一方、姉にも様々な感情がありました。
自分の後ろを辿っている弟が、生きずらそうにしている事も分かっていました。
申し訳ない気持ちもありましたが、申し訳ないなんて言ってしまうと
弟のプライドが更に傷つく事も分かっていたので、何も言えずに黙っていました。
まず大人になった今、姉は内緒にしていることがあります。
それを墓場まで持っていくつもりです。
弟の入試日に話は戻ります。
その日の夕方に、とある教師から電話が来ていたのです。
その電話はこんな内容でした。
「お前の弟が受験したよ。まったくダメだった。成績も部活の技術面も。だけどお前の弟だから合格にしておいたよ。」と。
弟には、何も言いません。
今、弟が自分の力で輝いているからです。
パリに行きたい著
